10月5日のANNニュースで、熊本地震で福岡県が集めた支援物資が、受け入れ先のないまま庁舎に保管されているという話題が報じられました。保管されているのはJR博多駅から北へ30kmほど離れた場所にある福岡県直方市にある福岡県直方総合庁舎です。
品目としてはマスクが最も多く、その数18万枚。そのほか、栄養補助食品4,800個、トイレットペーパー5,000袋、紙おむつ4,000個など。1階にある元理容室には2リットル入りの飲料水が約1万本。すべて分別し、品目や個数を明記してきちんと管理してある点は、さすがお役所と言うべきでしょう。
担当者である福岡県福祉総務課の野田亮子さんの説明によれば、県としては要請に応じてすぐに物資が出せるように、待機中の状態とのこと。しかし、被災自治体からの物資の支援要請は5月の段階で途絶えており、それからすでに約半年が過ぎようとしています。
こうした問題は、過去のさまざまな災害でも何度も話題になって来ました。災害発生直後の緊迫した雰囲気と心理状態の中で、「必ず使うものだし」「足りないよりはマシ」「置いても腐るものでなし」などの決まり文句と同時に、物資を必要以上に集めてしまい、あとになって処分に困る様子を私たちは何度目にして来たことでしょう。
しかし、冷静になって考えてみれば、災害発生から3日間は各自治体の備蓄で賄い、その間に必要数をはじき出して県や国に支援を要請する、その仕組みさえきちんと確立されていれば、本来、民間からの「支援物資」は必要なくなるはずです。
東日本大震災で津波被害に遭われた地域のように、地域の小売業者のすべてが壊滅してしまったなら、こうした需要もあるでしょう。しかし、そうでなければ一般家庭から提供される物資に頼るより、地元のスーパーやドラッグストアの倉庫から提供してもらえるよう、あらかじめ取り決めをしておいた方が合理的です。業者提供の物資なら、余れば返品も可能ですから、こうして置き場所に困ることもありません。
日本は災害大国です。近い将来、どんな災害が、私たちの身近な場所で起きるかも知れません。そのときに、この反省がどうやって活かせるか。私たち一人ひとりが、当事者の自覚を持って改善策を考えて行く必要があると思います。